見えないけれど、必ず存在するものの中に、「香り」があります。
何かの香りを嗅ぐと過去の記憶が一瞬で甦ったり、好物の匂いを嗅ぐと、お腹がぐ〜っとなったりします。
人混みの中で昔の恋人と同じ香水の香りを感じると、ドキッとして振り返ってしまう……なんてこともありますよね。
香りは目に見えませんが、私たちの心と身体を動かすとても大きな力を持っています。
今回は、この「見えない力」について掘り下げてみましょう。
嗅覚の意味
そもそも私たちの身体に嗅覚が備わっているのには、生存のための重要な意味があります。
目に見えない匂いの分子が、鼻の奥の粘膜に届くことで「匂い」として認知されます。
かつて人類は、匂いで敵味方を嗅ぎ分け、パートナーを選び、危険な毒や腐敗を察知していました。
現代では視覚や聴覚からの情報が優先され、嗅覚の出番は減ったように思えますが、実は私たちの本能の根幹を支え続けているのです。
香りは存在の証
現代の世界的指導者でありヨギであるサドグルは、香りについて非常に美しい言葉を残しています。
「花にとっての香りがそうであるように、人間にとっての愛もまた、その人の本質である」 (What fragrance is to a flower, love is to a human.)
花が美しく咲き誇り、その生命力が内側から満ち溢れたとき、それは自然と「香り」となって周囲に広がります。
花は誰かに媚びるために香るのではなく、自らが最高の状態で存在しているからこそ、香りが溢れ出してしまうのです。
人間も同じです。
自分自身の内側が喜びや平穏で満たされたとき、それは「愛」という目に見えない香りとなって周囲に伝わっていきます。香りと愛は、どちらもそのものの**「最高の状態」が外側に溢れ出したもの**なのです。
嗅覚の働きと脳
嗅覚は、五感の中で唯一、脳の「大脳辺縁系」にダイレクトに働きかけます。

ここには記憶を司る「海馬」や、感情・本能を支配する部位があります。
つまり、理屈抜きで心に影響を与えるのが香りの力です。
心が疲れているとき、好きな香りを嗅ぐだけでフッと体が軽くなるのは、香りが脳の奥底にあるあなたの「本質」に語りかけているからかもしれません。
香りの効果について
アロマテラピー(芳香療法)は、この香りの力を利用して心身のバランスを整える知恵です。
今のあなたの状態に合わせて、必要な「香り」を取り入れてみてください。
ストレス解消・イライラをおさめる・リラックス
イランイラン、ローズ、ラベンダー、レモン、ベルガモット、カモミール、金木犀(きんもくせい)、ヒノキ、コーヒー、バニラ
不眠解消

ラベンダー、オレンジ、ベルガモット、ネロリ、白檀
情緒を安定させる
ラベンダー、オレンジ、ベルガモット、ネロリ
元気を出す
タイム、ジャスミン、グレープフルーツ
リフレッシュする
ペパーミント、レモン、グレープフルーツ
集中する
ユーカリ、レモン、オレンジ、グレープフルーツ
記憶力を高める
ローズマリー
瞑想のために
サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド
落ち着くために
ヒノキ、カモミール
香りに包まれてみよう

香りには、私たちの波立った感情を鎮め、本来の穏やかな自分へと引き戻してくれる力があります。
お気に入りの花を飾る、アロマキャンドルを灯す、あるいは一杯のコーヒーを丁寧に淹れる。
そんな日常の些細な瞬間が、あなたの内側を整えてくれます。
仕事や家事に追われ、自分を見失いそうになる現代社会。
まずは良い香りに包まれて、自分を慈しむ時間を持ってみてください。
あなたの内側が喜びで満たされたとき、花が香りを放つように、あなたからも自然と優しさや愛が溢れ出していくはずです。

