アーユルベーダで身体の中から健康になる

新しいウィルスが発生して、安全なワクチンができるまでの間は一体どうしたら良いでしょう。ウィルスが身体の中に入らないように防ぎ、それでも入ってきてしまったウィルスに負けないように、身体を健康に保つ他ありませんね。

今回は、世界三大医療の一つであるアーユルベーダで、身体を健康に保つ方法を探してみましょう。

アーユルベーダとは

アーユルヴェーダは、サンスクリット語の生命(アーユス・Ayus)と科学(ヴェーダ・Veda)を組み合わせた「生命科学」という名の伝統医療で、インド・スリランカで五千年もの歴史を持つ、世界3大医学の一つです。

アーユルベーダ発祥の地インドでは、5000年以上も昔から人間の身体について詳しく研究が行われてきました。また、健康に良い食材を、環境・季節に合わせて食事療法として利用しています。具体的な養生法や治療法、薬草学についても説かれています。

現在は、予防医学・治病医学をベースとする高度な生命哲学として注目されています。

アーユルベーダの基本的な考え方

アーユルベーダで「生き方」を見直す

アーユルベーダでは、病気にならないために、未病の段階で、身体を健やかに保つ方法を説いています。そして、病気になってしまった時は、投薬や手術などの対処療法での治療ではなく、「生き方」を見直して病気の元を断つという方法を提案しています。

「生き方」とは、生活習慣である、食事・運動・睡眠の見直しと、人間関係や考え方という心の面の習慣を含んでいます。

そして、この「生き方」の見直しについては、個人の問題としてだけではなく、周りの環境や、社会との関わりを通して、調和の取れた人生を送ることを目的としています。

アーユルベーダの「ドーシャ」の調整

アーユルヴェーダでは、宇宙を構成する空・風・火・水・地の5つの元素の組み合わせで私たちの身体が成り立つと考えています。組み合わせには3種類あり、そのエネルギーを「ドーシャ」と呼んでいます。

「ドーシャ」には、「ヴァータ(風)・ピッタ(火)・カパ(水)」の3種類です。これらのバランスが取れている状態がベストな状態です。どれかが過剰になるとバランスが崩れます。

アーユルベーダでは過剰になったドーシャを減らすために、アヴィヤンガというオイルマッサージを行い、過剰なドーシャを体から排出して、身体の調子を整えます。

アーユルベーダ流 病気予防方法

口内衛生・舌掃除

Photo by Oleg Magni from Pexels

アーユルヴェーダでは、舌についた苔はアーマ(老廃物・未消化物)であり、睡眠中に舌の表面につくと考えています。朝起きたら、まず舌を磨いてお口の中のデトックスをしてあげましょう。

舌の掃除には、柔らかいブラシや、タン・スクレイパーという舌苔を削り取る器具を使うと良いでしょう。毎朝、舌を掃除してから白湯を飲む習慣をつけると、身体の中が綺麗になります。

食事療法

3つのドーシャのうちどの要素が強いかにより、それぞれの体質が異なります。体質により、性格もある程度定まると考えられています。その体質によって、体に良い食べ物も違ってきます。季節によって体質も、適した食べ物も変わってきますが、ここでは簡単に3種の体質と、食事の基本について説明します。

ヴァータ(風)体質

ヴァータは運動を司る風のエネルギーで、風と空の要素から構成されています。風のように自由に動き回るのを好み、好奇心が強く、いつも新しいことを好みます。ですので、物事に執着せず、飽きっぽいという面もあります。どちらかというと神経質で、緊張やストレスにより、不安感や恐怖心を持ちやすい傾向があります。ヴァータは、空気が十分に動き回れるように身体の中に空間を確保します。ヴァータが多すぎて、動きがなくなると代謝が滞りますので、便秘などに気をつけましょう。

ヴァータ(風)体質の人のための食事

風の性質を持つヴァータ体質の人の体は、冷えやすく、乾燥しやすいのが特徴です。野菜は生ではなく、火を通して温めて食べましょう。調子が悪い時は、酸味が強いものや、香辛料は避けた方が良いです。気まぐれな食欲に任せるのではなく、できれば規則的に食べるよう心がけると良いですね。のんびりリラックスした食事を取れる環境を整えることも大切です。

おやつに甘いものをとったり、乾燥を防ぐために、良質のオリーブオイルを積極的に料理に使うと調子が良くなります。

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ピッタ(火)体質

ピッタは火のエネルギーで、火と水の要素から構成されています。細胞や身体機能に必要な熱やエネルギーを作り出し、栄養分の消化や代謝を行います。情熱的でチャレンジ精神も強い性格です。一方、完璧主義で見栄っぱりなところもあります。胃腸が丈夫で、食べることが大好き。腸は効率よく機能しますが、辛いもの、脂っこいものを食べ過ぎると、消化不良をおこして、胸やけや軟便、腹痛を起こします。物事に熱中したり、興奮しやすく、怒りやすいところもあるようです。

ピッタ(火)体質の人のための食事

火の性質が強いピッタ体質の人は、消化器官が丈夫で、食欲旺盛な人が多いです。溜め込みやすいのは、熱ですので、冷たいものを取ると良いでしょう。また、熱を増やす食材や、発酵飲料、脂肪分、辛みの強いスパイスや塩分は控えた方がよいですね。
ピッタが増えすぎて、熱を感じるときは、甘味、苦味、渋味を積極的にとりましょう。特に夏は、生の野菜中心に、甘い果物もとりながら、ピッタが増えすぎないようにバランスを取りましょう。

カパ(水)体質の人

カパは水のエネルギーで、水と地の要素から構成されています。どちらかというと物静かで落ち着いていて、忍耐強い性格。言動も、ゆっくりしています。言葉を変えるとおおざっぱ、鈍感という表現もできます。水の性質上、なんでも蓄積する性格があります。お金を貯めるのも上手ですが、不要なものもため込んでしまうというところもあります。

カパ(水)体質の人のための食事

カパ体質の人は他の2種に比較すると、どちらかというと食物の影響を受けにくといわれます。脂肪をためやすく、太りやすいため、バターやチーズ、油の多量摂取は避けましょう。苦味や渋味、辛味を中心にして味をつけるようにしましょう。果物は甘味・酸味の強いものではなく、渋味があるものを選ぶと良いでしょう。水分の滞りを抑えるためには、代謝を活性化させ、体を温める胡椒や、生姜を使ったスパイシーな食べ物が向いています。また、カパ体質の人が好むことが多い、小麦製品、動物性のものも、日常的にできるだけ控えましょう。

薬草療法で健康を目指す

Photo by Chinh Le Duc on Unsplash

この薬草についてのアーユルベーダでの研究の歴史は長く、中国の薬膳と同様、生活の基本となる食事の中に取り込まれています。どのドーシャにはどの薬草が良いかということについては、東洋医学に比べて、より細かく定義づけられています。

ヴァータ(風)をデトックスするハーブ

シャタヴァリというハーブがあります。婦人科系器官のバランスを整える作用があるハーブです。

若返りための滋養強壮、強精薬として生殖能力を増進させるシャタヴァリは、『100人の夫をもつ女性』という意味だそうです。

消化機能のバランスも整えるシャタヴァリは、ピッタ(火)のエネルギーも流しますので、消化機能の調整もしてくれます。

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ピッタ(火)をデトックスするハーブ

消化を司る火のエネルギーであるピッタが過剰になると、体が熱を持ちます。臓器では、肝臓に熱が溜まります。

このエネルギーをデトックスするのに良いのは、サフランです。サフランというとパエリアが思いつきますが、パエリアだけではなく、スープに使ったりしても良いでしょう。

カパ(水)をデトックスするハーブ

水は体の70%をも占める、とても大切な要素です。でも、過剰にため込んでしまうと、不調が起きてしまいます。

カパ体質の人には、トゥルシーの発汗作用が役に立つでしょう。トゥルシーは、咳を沈め、心臓の働きを助け、皮膚の調子を整えます。

オールマイティなハーブ

特にヴァータの不足を感じる時ではなくても、日常的に摂取すると良いハーブにツボクサがあります。ストレスの緩和や、認知症予防の効果があり、コラーゲンを作る助けをしてくれるというのですから、心強いハーブですね。

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アーユルベーダの人生哲学

ドーシャバランスで体の健康を調整する

アーユルベーダでは、人の体質・性格を決めるドーシャのバランスは、受精の瞬間に決まると考えられています。卵子と精子が持つドーシャのバランスによって、私たちの体のバランスは決められているのです。

卵子からは、皮膚・血液・肉・脂肪・骨髄・心臓・両肺・肝臓・脾臓・胃・腸を受け継ぎ、精子からは毛髪系・爪・歯・骨・脈管・精子を受け継ぐと考えられています。

受精の瞬間に決まるドーシャバランスは、季節や1日の時間帯によって大きく変化します。変化する体の状態をよく観察して、過剰になったドーシャを都度コントロールできるようになれると良いですね。

自分がいる場所の、旬の食材を用いるようにしていると、健康の維持に役立つと教えています。手に入れにくい場合は、サプリメントやハーブティーを上手に活用してみましょう。

また、日々の生活では、地上が一番エネルギーに満ちている、日の出の1時間前に起きて、活動を始めることを推奨しています。

カルマ思想で精神面のバランスをとる

アーユルベーダでは受精の瞬間より前から、体が持つ心の現象や症状は決まっているとされます。魂が前世から持つカルマによって決まっているというカルマ思想に基づく考えです。

ですので、人の性格は生まれながらにしてある程度決まっていると考えるのです。

前世での「行為」「思考」「欲望」の積み重ねを基本として、今世で刈り取るべきカルマを少しでも刈り取るというのが、人生の目的の一つです。

アーユルベーダでの性の考え方

アーユルベーダでは、男女の性行為の1番の目的は、「子どもを作ること」としています。そのためには、男女が心も体も健康である必要があります。

そのためには、病気に対する免疫システムを強くするために、快活で、楽しく、前向きであることが大切としています。

実際には、受精の前に男女共が心身の浄化療法を行います。

また、カップルの関係がうまくいかなくなる原因はほとんどが「性の不一致」と考えており、不一致を防ぐために、占星術師に相談をしていたそうです^^

アーユルベーダの命へのアプローチ

アーユルベーダで人の健康を考えるとき、身体の健康だけでなく、心の健康も総合して考えます。そのために、感情を抑えたり出したりするのではなく、理解するのが大切だと考えています。

実際に存在する感情から目を逸らすと、心は乱れ、感情から逃げ回ることや、体に悪い反応を起こすことにエネルギーを使い果たしてしまいます。

感情の理解には、とてつもない時間を要することもあります。それを乗り越えたとき、はじめてエネルギーの開放が始まります。

エネルギーを正しい用途に使えるようになったときに、どんな人生を送りたいのか、それに対する心のあり方、生命観をも含んで総合的に「命」を考えるチャンスを与えてくれます。

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